ごくい
極 意

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「片山流剣術序目録」には、「極意(ごくい)」として、9種類の心がまえが書かれています。
極意とは=一番大事なことです

この目録には、
「向二方(むこうにほう)」
「脇二方(わきにほう)」
「馬上抜(ばじょうのぬき)」
「霞惣追風(かすみそうまくり)」
「闇之屋捜(やみのやさぐり)」
「戸入(といり)」
「小太刀実妙剣(こだちじつみょうけん)」
「日月風雨坂水之事(じつげつふううはんすいのこと)」
「卍字貫(まんじのかん)」
  と9つの極意が書かれています。
目録4 
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「極意(ごくい)」(一番大事なこと)
・立ってはいけない所に立たず、立つべき所に立つことを「位(くらい)」=「人のあるべき場所」といいます。
・思わぬ行きがかりで、他人の居場所に侵入してしまったり、自分の居場所を奪われて、取り戻す方法にも惑うこともあります。
・自分の居場所・位置づけを委曲明際(きちんと明らか)にして、何かをする時には過不足がないように、自分の位置づけをよく知っておく必要があります。
・相手に釣り合って、ふさわしい場所が、自分の位置づけとしていい場所です。

向二方(むこうにほう)
・悪人は、徒党を組みやすい癖を持っているので分断するのがいいです。
・悪人は、自分が不利になると、すぐ約束を破って人に害をおこすので、自分の位置づけをしっかり定めて、敵が分断するのを待ちましょう。
・敵を二つに分断して、右だ左だと惑わして、状況を分からなくするのがいい方法です。

脇二方(わきにほう)
・自分には自分の、人には人の位置づけがあります。これを犯し奪うことがないのを治国平天下です。
・「守ることを忘れる」という過ちを犯して、敵を両隣りに受けては、どんな名将でもどうすることもできません。
・よく先の先を見る人は、兆(きざし)を感じ取って、両隣りの人と連携しうまく自分を守っていきます。

馬上抜(ばじょうのぬき)
・上下を一つに統一しなければ、天下を治平する道はありません。
・馬上で刀を抜くものは、先ず馬に刀を抜くことを教えてから抜かなければいけません。馬が驚くからです。上の人は、下の人の心を十分知って、その功績を褒め、できないことは教えて、上下を一つの和で繋ぐことが大事です。
・馬と人の気持ちがばらばらになってしまって、進むのも退くのも混乱するときは、必ず馬上の体が浮き立って、人馬が二つに見えます。これは、敗軍の兆です。

霞惣追風(かすみそうまくり)
・物事にうまく対応する人は、立ってはいけない所に立ちません。
・きちんと居場所を定まっているというのは、雲や霞が空にあるのに似ています。 止まって、美しく、去る時は跡も残さない。跡に何も残らないのは、固まったものでなく変化するからです。
・迎えず、送らず、停まらず、強いず、犯さず、奪わず、きちんと自分の居場所に立つものは、他のことをよく知り、状況をよく知り、時期をよく知って、凝り固まらずに自由で美しいのです。
・自分をよく知るということは、先が見えるということです。先が見えれば、したいことが可能になるし、まわりを治めることができます。

闇之屋捜(やみのやさぐり)
・目の確かな人が、かえって井戸に落ちるというのは、自分の眼が確かであるという、うぬぼれがあるからです。
・暗い闇夜で、逆臣が立てこもったとき、この逆臣を生け捕る秘術として、敷居や鴨居につっかえ棒をして、戸を押し開いて、鞘のこじりで部屋の中をさぐり、触るものがあった時には、小さい提灯をこじりに掛けて見る方法があります。
・もし、逆臣が切って出てくる時は、音に応じて、身を潜り込ませたり、身を沈めて、右発*、左払*、瀧波**の太刀のようにして、勝ちを得るのです。
(*片山流居合剣術「応変八極」の技の名称、**片山流居合剣術「外之物」の技の名称)
・しかし、この逆臣が自分の立場をよく知っている者であれば、簡単にはいきません。斧で敷居を打ち砕いて、戸を引き倒し、その逆臣が自ら出てくるのを10日間待つのです。
・このように、自分の居場所・立場を知らずに行動すれば、事態が難しいことになってしまいます。闇夜に立てこもった逆臣を捕らえる術のように、適切に対応しなくてはいけません。

戸入(といり)
・乱れた国や危ない国では、まわりの人を自分を守る盾とします。そのためには、自分の立場を守って、差し出がましくしないことです。
・正しい位置に身をおく者は、物を盾とすることが速く、身を沈(ちん)にすることを忘れず、座っては隅から隅に移って、小具足を見るといいます。
・物を盾に取るとは、優れた才知を自分の友にすることです。身を沈(ちん)にするとは他人に対して礼を尽くして身を低くすることです。隅から隅に移るとは、序列を確認して自分がへりくだることです、そうすれば、危乱には遇いません。

小太刀実妙剣(こだちじつみょうけん)
・自分は誠実であっても、よこしまな人間に、陥れられて罪に落入ることもあります。
・このような事が起こるのは、物事がうまく働いていないのが原因です。正しいことを行っても、物事がうまく働いていないと、よこしまな輩を排除できません。
・小太刀は、自分の罪を償う切腹の時に使いますが、罪がなければ使うことはありません。むしろ、敵の攻撃を防ぐのに使います。よこしまな者を防ぐには、まず自分を正して、私は正しいことをやっているのだと知らしめて他者を正していく。これを妙といいます。
・実(まこと)は正(正しいこと)の根、正(正しいこと)は実(まこと)の花に例えることができますが、妙(はたらき)は、この正実の花全体を包む「香り」です。

日月風雨坂水之事(じつげつふううはんすいのこと)
・人間は、陰陽というもので気血を作り、天地に従って仕事をし、山川を頼って体を住まわせています。だから、陰陽天地山川に逆することがあったときには、すぐに人の道にも外れ不意な滅亡をきたします。
・月日は陰陽の「精華」で、風雨は天地の「余動」、坂水は山川の「通処」です。どうしてこれに向き合わないで敵対する必要があるでしょうか。これらに敵対することは、自分の道をそこない、自分の体をそこなって、自分の位置づけを誤るものです。だから、慎しまなくてはいけません。

卍字貫(まんじのかん)
・正実(正しく真であること)を兼備していても、運命の廻り合せによっては、才能を十分いかすことができず、一生を終えてしまうことがあります。
・運が強くなりたいならば、まず、この世で縁があることを願うことです。この世界で、皆兄弟のような縁があれば、強運を望むことも必要ありません。
・上下左右、全員が自分の防御となって、どこの国にあっても、いつの時代にあっても、自分の地位を広く永く保つことができ、やることもたやすく実現します。達人は、みな一つの考え方で一筋に貫くものです

目録4  目録4 
なるほど、

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